スマトラオオヒラタといえば、パラワンと並びしばしば「世界最強の昆虫」などと呼ばれる、インドネシア原産の大型ヒラタクワガタです。
web上でもしばしば喧嘩の強さに言及される虫であり、パラワンと同様に「戦う虫」としてのイメージが、一般にも知れ渡っているように思います。
クワガタ相撲においても非常に人気のある虫で、特にサイズ制90mm~95mm前後の階級を中心に、ビギナーからベテランまで今も昔も広く用いられています。
そんなスマトラオオヒラタの中でも、特に人気のあるアチェ産のクワガタ相撲における強さについて、この記事で掘り下げていきます。
スマトラオオヒラタの特徴
スマトラオオヒラタとは、その名の通りインドネシアのスマトラ島に生息する大型ヒラタクワガタです。
ただし、複雑なことに同じスマトラ島のヒラタクワガタでも、地域によって顎の形状が異なることがあり、戦い方も若干違います。
スマトラオオヒラタの産地としては本記事で取り上げるアチェの他にシディカラン、パダン、リアウ、ジャンビ、ベンクールなどがあります。
一度に覚えようとすると混乱しますので、クワガタ相撲をやる人は、とりあえずアチェとベンクールの特徴を押さえればOKです。
ベンクール産のスマトラオオヒラタに関する記事も後日公開します。
スマトラオオヒラタの生息地
本記事で取り上げるスマトラの産地「アチェ」とは、スマトラ島の最北端の地域になります。この地域のスマトラは、内歯が下がる形状で固定です。
パラワンやテイオウを上回る圧倒的な体躯
クワガタ相撲におけるスマトラオオヒラタは、90mm~95mm前後の階級を中心に活躍する虫です。
90mmクラスの階級における仮想敵は同種以外ではマリンドッケなど、95mmからはテイオウと戦うことになります。ちなみに85mm前後の階級が存在していた時代は、ダイオウヒラタと覇権を争っていました。
95mm前後のサイズ帯における仮想敵であるテイオウヒラタに関しては、下記の記事で詳しく解説しています。
テイオウはパラワンよりも太い虫ですが、スマトラはそのテイオウよりも更に太く逞しい体躯を誇るクワガタです。
クワガタ相撲においては体格に物を言わせ、強烈な突進力で相手にプレッシャーをかけるスタイルをとります。
スマトラオオヒラタの強さは?
続いて、スマトラオオヒラタの強さについて掘り下げます。
先に結論を言ってしまえば、「個体による」というのが私の答えです。当然ながら、同じスマトラの中でも強い個体もいれば弱い個体もいます。
ですが、これまで多くの試合を見てきた経験から、スマトラの強さについて論じることは可能です。
「強さ」の定義
そもそもクワガタの強さとは何かという話ですが、このサイトでは“クワガタ相撲大会の土俵の上”という限定的な環境下で人為的に発生させる、カブトムシもしくはクワガタムシの闘争における勝率を、「強さ」と定義します。
従って、野外で自然発生するオス同士またはメス同士の闘争行動や、所謂バーリトゥードなどと呼ばれる虫同士の殺し合い(喰い合い)は一切考慮しません。
スマトラオオヒラタが得意とする階級(環境)
トップページでも軽く触れている通り、スマトラが得意な階級は90mm~95mm前後の階級になります。最近は飼育技術の進歩もあり、100mm以上の階級に出場するスマトラも増えてきました……が、100mm以上の大型階級におけるスマトラの戦績は芳しくないようです。
太けりゃ良いってもんじゃない?
100mmを超えるスマトラは、同じ100mm以上のパラワンと比較しても、圧倒的な体格と体重を誇ります。
ところがなぜか、100mm以上の階級でスマトラは結果を残せていません。
体重面では遥かに下回るはずのパラワンに簡単に押し込まれ、いとも容易く放り投げられてしまう場面がよく見られます。
これについてはクワガタ相撲愛好家の間でも色々な説が飛び交っていますが、はっきりとした原因は今のところ不明です。
明確に言えることとしては、スマトラが得意な階級はやはり90mm~95mmである、ということです。
まとめ
スマトラオオヒラタはパラワンほどでは無いにせよ闘争心が強く、戦わせることは比較的容易です。また、スマトラはオオヒラタの中でも特に外骨格が強固で、激しい戦いを何度くぐり抜けても、無傷で戻ってくることが多いです。
近頃は血統や飼育技術の進歩により、岩のように筋肉質なスマトラが土俵に上がることが増えてきました。
まるで猛獣の闘争のような、力と力のぶつかり合いに魅了されているクワガタ相撲愛好家は、きっと多いはずです。
お手元にやる気のありそうなスマトラをお持ちの方は、ぜひクワガタ相撲大会に出場させてみてください。


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コメント
はじめまして。
私は相撲をしませんが、全長100ミリのテイオウと、長さがほぼ同じで幅が10%ほど太いスマトラを戦わせたことがあります。成熟度合いは同等です。
結果は、アゴの接触と同時にテイオウがスマトラを一瞬でひっくり返して勝ちました。0.5秒もかかりませんでしたね。
自分より重たいものをなんなく持ち上げる昆虫にとって、1割程度の体重さは関係ないのでしょうね。それよりも、相手の重心に潜り込むアゴの長さと、ひねりを効かせやすい体の細さの方が大事だと思います。
スマトラの薄く広がる体には、アルキデスに外から挟まれない、コーカサスに下からすくわれない、太いで樹皮を削って潜り込みやすいという利点がありますから、生息環境では有利でしょうね。
失礼しました。よく考えたらコーカサスは樹液ではなく果実酒に集まる生態だった気がします。はっきりと覚えてませんが。
ただ、スマトラはどちらかというと樹皮の下に潜り込んで戦わずに済む方向で進化していったのではないかと想像してます。